日本維新の会代表質問全文(平沼赳夫)


みなさまこんにちは、藤井盛光です。

一昨日1月30日の通常国会本会議において、日本維新の会を代表して平沼赳夫国会議員団代表より安倍晋三首相に対する代表質問が行われました。

私はこれを拝聴し、まず第一印象として何と格調高い演説だろうと強烈な感銘を受けました。議員生活において初の代表質問ということでしたが、それは私の知っている平沼赳夫先生の信念、気概、迫力が伝わるもので、私の心に響いたのであります。各論に至っても、たちあがれ日本の時からの主張が前面に打ち出されており、これが日本維新の会の意志であるならば(代表質問なのですから当然そのはずですが)大変心強いと安心いたしました。

私があれこれ言うより、できるだけ多くの方に平沼先生の名演説に触れて頂きたい。そういう思いで以下、全文を書き起こしましたので、お時間があればご覧になっていただければ幸いです。私がその場にいたら「そうだ!」と叫んでいたであろう部分は太字にさせて頂きました。





■以下書き起こし


まず初めに、アルジェリアで不幸なテロによって生命を奪われた被害者の皆様のご冥福をお祈りし、ご家族の皆様方に心よりお見舞いを申し上げます。

私は日本維新の会を代表して安倍総理大臣の所信表明演説について質問を致します。日本維新の会はこの度の総選挙において54議席を獲得し、比例で頂戴した票の総数は1226万票余でありました。全体の20%で、二番目の地位を占めたわけであります。私共は国会の第三党としてその責任を自覚し、日本の為に国政の場にあって、是は是、非は非の基本姿勢で今後の政治に責任を持って対処して参る覚悟であります。

本題に入る前に、我が岡山が生んだ幕末、江戸後期の偉人、備中松山藩の山田方谷(やまだほうこく)について触れてみたいと思います。彼は今より200年ほど前、1805年に現在の岡山の高梁市で生まれました。家は貧しい農商で、菜種油の製造と油の販売を行なっていました。幼くして両親を失った方谷は、陽明学を学び、苦学して家業に精を出しました。彼は神童の誉れ高く、その学徳が藩主に認められ、わずか9歳の折、将来は何になりたいか、こう問われた時、「治国平天下」と答えたと言います。大学にある「修身斉家治国平天下」、身を修めて、家を斉え、以て国を治めれば、天下は平らかである、この言葉を9歳の少年が堂々と述べたというので、皆びっくりしたそうであります。

彼は京都や江戸へ出て、学問に勤しみ、武士に取り立てられるまでに至りました。江戸では佐藤一斎の塾に入り、佐久間象山と二傑と称され、彼が塾頭になったわけであります。32歳で故郷の松山藩に戻った方谷は、藩校の有終館の学頭、教授となりました。方谷は教育家として、学識経験に一所懸命に邁進し、40歳で殿様の教育係にもなったわけであります。

松山藩は当時大変な貧乏藩で、石高は5万石でしたが方谷が調べたところ実際は1万9000石ほどしか無かった、こういうふうに言われております。そして借金は膨大で10万両の借金が大坂の両替商に有り、利息を払うだけでも四苦八苦の状況でした。藩主、板倉勝静(いたくらかつきよ)に請われて全権を委任されて元締役、兼、吟味役、今で言えば財務大臣に就任したわけであります。

方谷は現在の日本に匹敵する財政難に必死で立ち向かいました。方谷は節約の大号令を発し、藩札の刷新、産業の振興、藩政改革、文武の奨励、軍制の確立、新田の開発等々で一所懸命にそれに取り組み、現在の貨幣価値で言うと600億円にもなる10万両をわずか7年で完済し、その上に10万両の蓄えまで持つことが出来ました。

彼は節約でお金を浮かし、大坂の両替商には正直に内情を示し、再建計画書を提出、利息をまけてもらい、この資金で製鉄の為のたたらを造り、鉄製の三本又の備中鍬を大量製造して、当時日本の総人口の8割を占めている農民に向かって、江戸でこれを販売しました。
これが羽が生えたように売れ、藩の収入に大変寄与しました。これで方谷は街道の整備、港の建設を行い、流通面でも配慮したわけであります。

当時は藩の発行した紙幣、藩札は紙くず同然になってそれぞれの家に眠っていました。方谷は、藩札を持ってくれば金貨銀貨銅貨に替える、交換を約束いたしました。藩中の人達は半信半疑で藩庁に藩札を持って来ました。約束通りに金銀銅貨に交換してくれ、藩の中心にある河原に旧札がうず高く積まれました。方谷は衆人環視の中でこれに火をかけて燃やしました。新たに藩札を発行しました。新しい藩札には信用が有り、瞬く間に流通をし、隣の藩にまで浸透したようです。

こうして情報を開示し、資金を創出し、産業を興し、信用ある藩札の発行、金融改革、財政改革を行い、必要な公共事業にも手を伸ばしました。また方谷は、新田の開発にも熱を入れ、新田からの米には年貢をかけませんでした。農民だけでなく、武士にも屯田兵制度で新田を開発させ、これも無税扱いに致しました。これは税制改革の一つと言え、経済は盛んになりました。

また軍備にも着目し、里正隊(りせいたい)、武士でない一般人からなる軍隊を創設し、総理のご地元の奇兵隊の10年も前にこの里正隊を設立しました。これを久坂玄瑞(くさかげんずい)もわざわざ見学に来て、多大な影響を与えたものといえます。山田方谷は72歳で没するまで、教育、それに邁進し、彼の教育の教えを受けた人々が大変活躍をしました。彼の藩政刷新の効果絶大で、板倉勝静は徳川幕府の筆頭老中にまで上り詰めることが出来ました。方谷は勝静の右腕として活躍し、大政奉還の精神も彼が起草したといいます。現在の日本と同じような状態となっていた松山藩を実質、1万9000石から20万石の実力とまで言われるようにした山田方谷のこと、我々は今、今後の参考に多いになると考えております。

このことを念頭に置いて、以下所信にはないことを含めて質問をさせて頂きます。

まず、皇統の問題です。
平成16年12月、皇室典範に関する有識者会議が突如設置されました。国論を二分することになったわけであります。背景には昭和40年11月30日に礼宮文人親王、現在の秋篠宮ご誕生以降、平成16年まで40年間、親王様のご誕生を見ない異常な事態がありました。この40年間に8方の女子皇族がご誕生になっておられたのに、男子は0という状態でした。男女ほぼ5割と見られている確率から見れば、異常な事態が出現しておりました。今上陛下の次の次の世代において、皇位を継承すべき男子のお世継ぎがおられないということで、これにいちおう応えての有識者会議の設立でした。

しかしこれを良く吟味してみると、皇室の危機を克服するどころかこの危機に乗じて皇室の解体の企図につながる皇室典範の改正という手段で、これを間接的に行おうとする意図が明白なものとなりました。そして平成17年の1月に開始された有識者会議の結論は、女系天皇の出現を可能とするようなものになりました。当時の総理大臣は「良い答申をいただいた。次の通常国会で取り上げる」とまで言い切ったのであります。しかし平成18年、2月7日に秋篠宮家の紀子妃殿下ご懐妊の兆候が発表され、2月9日には皇室典範改正法案の国会提出は見送るということになりました。そして同年の9月6日に悠仁親王のご誕生でこの作業は打ち切られることになったのです。

しかし、皇室典範の改正を目論んだ勢力は決して諦めておりませんでした。平成23年10月に女性宮家の創設という名分を立てて行動が開始されました。私には思い起こすことがあります。有識者会議で国論が二分された時、平成18年の春、武道館で国民大集会を開催いたしました。当時のマスコミの一部は、あんな大会場を満杯にするような人は集まらない、せいぜい半分だ、こう揶揄いたしました。

当日出席した私は、感激に浸りました。1階のアリーナ席から3階まで人々が参集、1万人を超える全国からの人々の大集会となったわけであります。各界より数々の意見が寄せられましたが、イスラエルのヘブライ大学の教授、ベン=アミー・シロニー氏のメッセージに皆感動いたしました。「自分はユダヤ人でありユダヤ教のラビ、お坊さんは男親から男の子に引き継がれる。全世界に10億人を超えるカトリック教徒がおり、イスラエルもそしてカトリック教徒も男女同権思想が強いけれども、ローマ法王が男だということで誰も異論を挟まない。それは長い歴史、伝統文化のなせる業であり、誰もが当然のことと思っている。日本の皇室は125代男系で続いた尊いものである。世界唯一の存在ではないか。なんで日本人はその尊いものを変えようとするのか。日本人しっかりせい。」というものでした。

私は総理にお尋ねします。
皇室典範の改正により男系の継承は可能だと思います。本来であれば皇室の家法である皇室典範のことを我々国民が云々するべきではありませんが、昭和22年の連合国の強権によって11宮家が廃絶、皇室典範は憲法のもとに置かれてしまい、国民の代表たる我々が意見を述べなければならなくなりました。皇統の伝統について、総理大臣の見解をお聞きしたいと思います。

次に日本国憲法の問題です。
総理も改憲論を展開されており、私共も現在の憲法は改めないといけない、こう思っております。我が党の石原慎太郎代表は廃憲論を述べております。それは現憲法を改正するのではなくて、憲法を新しく制定すべきとの意見です。被占領国に対し占領した国が憲法の変更を迫ることは、ハーグ陸戦条約の43条、大西洋憲章の第3条等に逸脱することになるからであり、違法な手段、不法な条件で意図的に改正された日本国憲法は問題との見解です。現在、96条改正が憲法改正の要のように言われておりますが、総理として、憲法を改めるにはどうしたら良いか、このことを是非お聞かせ頂きたいと存じます。

次に経済政策の問題です。
総理は三本の矢の政策を掲げ、無期限の金融緩和に踏み込み、2%のインフレターゲットを日銀と歩調を合わせて断行しました。それにつれ、10円以上の円安、株価の上昇、国民の景気マインドの向上等、効果は現れつつあり、そのことは私共も評価致します。しかし、米国国家情報会議のメガトレンド2030を見ると、覇権的なパワーの分散、人口の動態、食料、水、エネルギーの需給の大問題、危機が起きやすいグローバル経済、米国の役割の低下、格差の増大、米国のエネルギー需給と中東諸国との関係、気候変動、ユーロの崩壊の危機、中国の経済動向、米国の後退等々、大問題が山積しています。

自由に世界経済をコントロールする覇権国家が存在したのは歴史上二度しかありません。ナポレオン戦争の終了から第一次世界大戦までの英国、第二次世界大戦後のアメリカの存在だけです。要するに、覇権国家がなくなるということであり、G7、G20と言っていましたが、G0の時代が到来しております。もちろん、アメリカと日本は仲良くして行かなければなりませんが、G0を想定される場合、日本の将来に対してどういう手段が経済政策に必要か、この肝心なことを総理にお聞きしたいと思います。最近では、デフレインフレの議論の上に、スクリューフレーションの危機があり、更なる中産階級の貧困化を招くと言われております。こういった現状にあって、我が国の産業を支える多くの中小企業にきめ細かく対応しつつ、競争原理を導入し、力強い産業を振興して新たな市場を生み出していく決断が必要です。前述の山田方谷の話ではありませんが、是非、総理のお考えをお聞かせ頂きたいと思います。

次に、外交安全保障について質問させて頂きます。
北方四島、竹島、そして尖閣諸島をめぐって緊張が高まっています。ロシアとの関係、韓国との軋轢、中国の覇権主義、どれひとつとっても我が国にとって喫緊の課題です。アルジェリアのテロを見ても、我が国の情報収集力の不足が現実であります。予算の貧しさも嘆きます。我が国の現状を見ると、諸外国では軍事費が増大しております。ただひとつ、日本は小泉内閣以来、実質的に削減をしており、この国の安全と平和を守る上で、限界に近づいております。国の財政状況を見ると、その厳しさは解りますが、防衛費を思い切って上げる覚悟が必要です。福祉が叫ばれておりますが、国の平和と安全を担保することは、福祉と同じぐらい、国民の心の安寧を保つためにも必要であります。防衛費の確保はお考えのようですが、思い切って防衛費を大幅に上げる決断をして頂きたいと存じます。

領土問題に関しても、我が国は正々堂々と国際司法裁判所へ提訴するなど、正しい行動をとるべきだと考えます。防衛費増額と領土問題について、総理のお考えを伺いたいと存じます。小泉内閣の時に北朝鮮は初めて拉致を認めて5名の被害者が帰国し、引き続き家族の方々も帰って参りました。そして昨年で10年も経っております。この間、何の進展も有りませんでした。ご家族の方々も年を取られ、全国で1000万人に垂んとする署名も集まっており、拉致された方々は必ず生きておられると確信いたしております。総理も拉致の問題でこれまでめざましい活躍をされて来られましたが、拉致問題解決のため、総理は日本政府としてどう対応していくか、六者協議のこともよく考えて、是非そのお考えを承りたいと思っております。

鳩山内閣の時に日米関係にヒビが入り、普天間基地問題で米国との関係に軋みが出、沖縄の方々にも不信を与えております。日米関係の円滑化のため、総理はどう対処されようとしているか、これも総理のお考えをお聞き致します。先程も触れましたが、防衛力の整備は我が国にとっても大変重要な課題です。日本独自の防衛力整備に関し、向こう10年は我が国の優位が保たれている今、集団的自衛権の行使を含む集団的安全保障、核攻撃に対するシミュレーションの必要性や、我が国の防衛体制のあり方について、ご意見をお聞きしたいと考えております。

最近TPPについて国論が喧しくなっております。
最大の同盟国、アメリカの提唱ですから話し合いには参加すべきと考えますが、農業問題を含め24項目、全て国益に関する重要な検討項目があります。私共はこの交渉も是は是、非は非で国益を十分に考慮して臨むべきと思っております。TPP交渉につき、総理のお考えをお訊ね致します。

次に、財政制度改革につき、現在の単式簿記、現金主義から世界標準の複式簿記、発生主義への転換が必要と考えます。東京都や大阪府では、すでに採用して大変な効果が上がっています。この会計制度の改革につき、ご意見をお聞きしたいと存じます。

私共は国の一般会計、特別会計等を連結し、予算ベースで財務諸表を作成、国の財務のコントロールを徹底すべきと思っております。なお昨年、11月16日、民主自民公明3党は衆議院議員の定数削減について、小選挙区での抜本的な見直しについて検討を行い、次期通常国会終了までに結論を得た上で必要な法改正を行うとする衆議院議員定数削減に関する合意書を取り交わしましたが、今回の総理の所信表明演説では、国会議員自らが身を切る定数削減等については何ら言及されていません。行政の歳出削減を断行する前には、まず政治家が身を切る覚悟を示すべきです。日本維新の会は議員定数3割から5割削減を公約としてその実現を図りますが、この問題に対する総理の所信を伺います。

政府と日銀の責任分担を明確化する協定が必要と考えます。政府が日銀に物価目標を指示する場合、その目標を達成するため日銀は非伝統的な金融政策に踏み込まざるを得なくなります。その政策実施の責任は政府が負うことを明確化すべきであります。政府と日銀の責任分担、日銀のガバナンスのあり方を再定義するための日銀法の改正が必要です。総理の見解をお聞きします。

次に社会保障についてお訊ね致します。
年金問題は大きな問題です。現役世代、若者世代を応援するために、世代間格差を是正することが必要です。具体的には、年金制度の考え方として賦課方式から積立方式への移行、世代間格差の是正が必要です。年金問題について、今後どうあるべきか、総理のお考えをお聞きいたしたいと存じます。医療について問題が多々あります。自己負担割合の一律化、世代間格差の是正、混合診療の解禁等々、問題が山積しております。今後の医療をどう守っていくかについてお聞き致します。生活保護のことを考える人々を対象とすべきなのに、実施の内訳を見るとその給付が外国人に大きくなりつつあり、全体の3兆円の相当な部分を占めるようになっています。真の弱者を支援するという立場に立って、私共はこのあり方を見なおさなければならんと思っております。この現状について、総理のお考えをお聞きします。

次に震災の復興です。
絆と言いながら各市は瓦礫の処理に非協力的になっています。東北4県を除くと、東京都や大阪市などが率先して受け入れを決断し、現在11県が受け入れていますが、まだまだ不十分です。残念ながら瓦礫処理は遅々として進んでおりません。もちろん安全性はしっかり担保しなければなりませんが、各市はもっと協力をするべきです。1628万トンの内、未だに50%以上が未処理であります。被災された方々は強制移住をされて毎日不便な生活を強いられております。一日も早い完全な復帰が求められており、政府は全力を挙げてこの問題に取り組んでいくべきです。復興に関するご意見をお聞きしたく存じます。

山田方谷は今の日本の現状と類似した備中松山藩の大改革を単なる経済復興だけではなく、金融財政、必要な公共事業、流通、教育再生、軍備改革等、総合的に成し遂げました。私共は総理の姿勢に共感を覚えるものでありますが、是非、三本の矢を総合的な抜本改革によって、日本再生のため、頑張っていただくことを祈念し、私の代表質問を終わります。


■書き起こし終わり



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