現代日本の企業のあり方について

2012/02/06

政策提案 日本経済

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みなさまこんにちは、藤井盛光です。




長岡は相変わらずの雪模様ですが、時折強い日差しが差し込む陽気も見られます。このような日は、日が暮れてからの放射冷却で冷え込みが厳しくなり、翌朝凍結路面が出現します。完全に氷点下の地域なら凍りっぱなしの路面はそれなりに摩擦がありますが、溶けかけの凍結路面は人も車もよく滑り、絶えず注意が必要です。


さて、本日は21世紀を迎えて日本社会の現状を見るにあたり、社会のひずみの一因になっていると思われる「企業」の在り方について考えてみたいと思います。先に結論を述べれば、「企業には従業員の安定した生活を支える義務がある」ということです。


企業とは何か。日頃その定義を気にする必要もないほど、企業は空気と同じように我々が生活する上で必要不可欠な存在です。我々が経済と呼ぶ分野の主たる構成要素の一つが企業であり、企業の業績が全体的に盛んな時期は社会は活気づきますし、逆に悪化すれば社会は停滞します。景気が人間の経済状況や心理面にまで作用するという事実が、いかに企業が我々の生活と密接に関わっているかを表しています。


本記事の問題提起は、現代日本社会で生じている様々な問題において、我々の生活に密接に関係している企業に端を発しているものはあるのか?もしあるのならば、どのようにして是正するべきか?ということです。


企業が関わる社会現象で思いつくことは何でしょう。リーマンショックとデフレ、円高のあおりを受けた不景気。その不景気の結果としての雇用の低迷、就職難。規制緩和による非正規雇用の増大。不安定な就労状況による未婚人口の増加と少子化、、、色々とあるように思えます。


全ての元凶はリーマンショック、と結論付けられれば簡単なのですが、上に挙げたデフレ、就職難、非正規雇用、未婚、少子化といった諸問題はもう何年も前から問題視されてきた事柄です。またデフレや円高は政策によってもたらされたものですので、企業にそれを問うことはできません。


そうやって考えていきますと、就職難や非正規雇用といった「雇用」の面において企業の在り方を考える余地が有るように思えます。規制緩和は国策じゃないかと仰られるかもしれませんが、非正規雇用は企業に裁量があります。


企業には世界一般的にCSR(Corporate Social Responsibility)と呼ばれる社会的責任が定められています。そこには法令遵守や利益貢献といった当然の責務を果たすのみならず、地域住人や社会の様々な要請に応え、地域社会との共存などの社会貢献、情報公開を積極的に行うべきという理念が盛り込まれています。平たく言えば、公器としての企業の在り方が謳われています。


しかしながら、現状はどうでしょうか。企業は公器として果たすべき責務を果たしているでしょうか?もしくはそれを支えるような社会制度は整備されているでしょうか?


答えは残念ながらNOです。法令遵守、利益貢献は十二分に果たしているでしょうが、地域への貢献、具体的には「安定した」雇用維持には残念ながら殆どの企業が現状貢献できていないように思えます。しかしこれは現行制度上、仕方のないことでもあります。


そもそも非正規雇用が雇用の不安定さそのものですし、安価な輸入品との過度な価格競争下で利益を追求するがあまり人員削減をすることも雇用の不安定要因です。ましてや工場の海外移転など論外です。この立場から見るに、結局のところ「企業の利益>社会貢献(国益)」となっているわけです。


これまでは企業の効率化によってコストダウンを図り、できるだけ少ない社員でできるだけ大きい利益を上げる企業が優良企業と言われて持て囃されてきました。皆さまの中にもそう考える方は少なからずいらっしゃるでしょう。しかし本当にそうなのでしょうか。できるだけ大勢の社員を抱えて(生活を支えて)少しでも利益をあげている企業の方が社会貢献度は高く、優良企業なのではないでしょうか。


非効率を敢えて推奨するわけですから、当然それを支えるような社会制度が必要です。具体的には、法人税率を雇用社員数に応じて漸減するような傾斜課税方式にして雇用のインセンティヴを増大させることにより、企業の負担を軽減させられるでしょう。


同時に労働者派遣法の見直しを行い、現在のような非正規雇用の増大、雇用の二極化に歯止めをかけるべきです。また正社員の解雇規制に関しても今後考えていく必要がありそうです。雇用保護規制の強い国ほど非正規雇用比率が高く、平均失業期間が長くなるとの報告が経済財政白書に見受けられます。


以上のように、これまで良しとされてきた企業の在り方は雇用を通じた社会の安定化には不適当であり、現在の社会状況を改善できるような、いわば雇用促進政策を官民合意で行うことが必要であると私は考えます。またこれ以上の自由化促進、規制緩和は現状慎むべきでしょう。


そうして安定して職に就くことが出来て初めて、人は家庭のことや出産、育児の計画を立てることが出来るのではないでしょうか。私は少子化の根本的な解決はこの議論を抜きにして有り得ないと思います。自由競争の果てにもたらされた勝ち組と負け組、二極化は我々日本人には馴染まない社会構造です。分厚い中産階級の復活こそが21世紀に我々が目指す日本社会だと私は思います。






おしまい







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