小説「政権奪取!」 11



隅田は伊達に言われた資料の件で平岩の協力を求める事にした。予め電話で伊達から依頼された件を伝え、平岩に何か役立つ資料を探して貰っていたのだ。そして平岩から最も依頼の件に相応しい資料が見つかったとの電話を貰い、その資料を受け取る為に平岩の事務所がある平河町に向かっていた。

「お忙しく在られるのに私の我儘を聞いて頂き、ありがとうございました。」

「いや、我々は共通の目的を持った同志ですよ。水臭い事は言いっこなしです。」

「そう言って頂けるとありがたいです。」

「平岩さんは、このドラマで室井良子女史を演じるに相応しいのは誰だと思われますか?

「それは隅田さん聞くまでも有りません。我々世代で圧倒的人気を誇る末永小百合さんを置いて他には、あり得ません!」

「そうか、末永小百合さんか。年齢的にも室井女史に近いし、適役かもしれませんね。」

(この平岩の一言で隅田の頭の中のもやもやはすっきり晴れた。そして隅田自身がもう末永小百合以外を考えられなくなっていた。これで主人公は決まりだ!)





一方、保守系シンクタンク理事長室ではこんなやり取りが交わされていた。

「理事長、それで立候補する選挙区は決まったのですか?」

(久保が単刀直入に尋ねた

「ええ、私が以前住んでいたあの地方中核都市に致しますわ。」

「えっ、まさかあの中田真弓代議士の選挙区か?」

「ええ、私が出馬するならあそこしかあり得ませんことよ。」

「・・お前さんらしい、それで勝賛はあるのかね?」

「勿論ですわ。そもそも小選挙区制はその選挙区から一名を選出する選挙でしょ。それであればその選挙区の代表として相応しい人が選出されてしかるべきなのに、物心ついたころからその選挙区に一日も暮らした事のない人が選出されるなんて、どう考えても理不尽でしょ。其れならばあの選挙区に小学校、中学校、高校と八年間暮らした事のある私の方がまだ相応しいと思えるの。それともう一つ、拉致問題に関わっている私には、彼女が所管大臣だった時、拉致相手国のどら息子が不法入国した際、サッサと国外退去処分にした事が未だに許せないの。拉致被害者達にとって千載一遇の解放に繋がるチャンスだったかも知れないでしょ?だからあの選挙区に立候補する。私が彼女と対峙する事で否が応でもマスコミを最大限に引き付ける事ができるわ。マスコミ戦略としては完璧でしょ、マスコミ出身の私が考え抜いた戦略ですもの、間違いないわ。」

「確かに見事なまでのマスコミ戦略だ!ところで、間違いなく勝ちぬくための作戦も当然立ててあるのだろ?」

(久保は、外見からは想像も付かないほど激しく、熱い、彼女の心の内の闘争心を感じた)

「もちろん抜かりないわ。今まで私が選挙の際に応援した目ぼしい人には、全て応援依頼します。例えば、平岩俊介、長内武雄、安藤公三、佐野肇。政治家としてはこんなところかしら。文化人として、久保さん貴方にも応援して頂くわ。」

「そりゃ一向に構わんよ、喜んで応援に行くから。終わったら美味しい地酒位はご馳走してくれるんだろ?」

「ええ、選挙違反にならない範囲で・・・」

「高級な所は、なしという事か・・・」

「その通り。」



こうしてこのプロジェクトの成否を決めかねないマスコミ戦術は決められていった。



to be continued...





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