小説「政権奪取!」 7



「佐野君、彼女は君が口説いた位では梃子でも動かんのだろう。平岩君が口説いたら少しは見込みはあるのか?」

「いえ会長、平岩氏が口説いたとしても結果は同じはずです。彼女を担ぎ出すのは一筋縄ではいきません。一番の問題は、彼女には今までの女性政治家と違って名誉心も自己顕示欲もありません。無論金にも靡きません。はっきり言って取りつく島がないのです。」

「しかしこの極秘プロジェクトの成否は彼女に掛かっているんだ。だって彼女を置いて日本初の保守政党党首も内閣総理大臣も有りえんだろう。彼女ならと平岩君も君も党首を諦めてくれたんだろう。誰か彼女を口説けるやつは居らんのか?」

「そうだ会長、安藤公三君に口説かせてみては如何でしょう。総理大臣だった時、何かとブレーンとしてアドバイスを受けたようですし、かなり親しいと思えます。」

「だめだな、君は知らんのか。彼がアメリカを訪問する前に、日系議員が提出した法案が可決されそうなのを受けて彼女を官邸に招いてその法案に対してのレクチャーを受けたにも関わらず、それが全く活かされなかったとして彼女は怒っていたから無理だろ。」

「そうだったんですか。」

「日本の初代女性総理大臣は、彼女をもってして余人に変え難しなのだ、分かるだろう。」

「大勲位や東京都知事に口説いて貰っても結果は一緒ですね。」

「恐らくな。」

「すみません、適任者が思いつきません。今日のところはこの辺で失礼させて頂きたいのですが宜しいでしょうか?」

「ああ、よかろう。私も今日は帰る事にする。」

 その頃、平岩は民政党議員の中でのメンバー選考をしていた。先ずは自身が議連会長をしているメンバーから人選する事にしていた。そして、挙がった候補が渡瀬周蔵、向原誠、原田仁志の面々だった。この平岩のサポートは無所属議員の長内武雄が担っていた。

「先生、渡瀬周蔵議員に関しては、まったく問題ないと思います。彼のお父さんも保守系議員でしたし、なんと言っても彼には、日本国憲法第一条(象徴天皇制)を厳守する姿勢があります。あの天皇陛下拝謁事件の際、民政党議員でありしかも内閣府政務官であったにも拘らず、今からでも遅くないから取り止めるべきだと、民政党議員ただ一人テレビを通してではありましたが明言しました。私はその心意気を買いたいと思います。」

「わかった、私もその件は承知している。天皇陛下に対する考えも皇室に対する考えも私と同じだと思っている。」

「向原誠氏に関しては、一番のネックは元民政党代表であり、現閣僚です。仮にメンバーに迎え入れたとしたら、閣僚への起用が条件になるかもしれません。その辺がクリアーできれば問題ないかと思います。」

「私としてはそんな約束軽々にしたくないんだ。折角このプロジェクトであの室井良子女史を立てる以上、人事に関しては彼女のフリーハンドを確保しておきたいんだ。その為には、人事を条件にするメンバーはこちらから排除する姿勢で臨むつもりだ。」

「わかりました。それでは、向原氏に関してはペンディングという事にしておきます。」

「よかろう、原田仁志君はどうかな?」

「原田さんに関しては、議連の事務局長をされたこともある訳ですから先生のご判断でよいと思います。」

「そうだな。そうなんだが彼の思想、政治理念を考えれば、今民政党議員で居る事が理解できないんだ。しかし行動は、正に保守政治家で保守としては否の打ち要はないんだ。今度は私が彼をペンディングとしておく事にして置きたいのだがいいかね。」

「はい、分かりました。」

 二人がそんなやり取りを交わしているところへ、渡部から平岩に電話が入り大勲位を交えた御前会議への参加要請が入ったのである。

「済まんが長内君。今から渡部さんの所へ行かねばならなくなった。後を宜しく頼む。」

「はい、わかりました。お気を付けて行って来てください。」


to be continued....




0 コメント:

コメントを投稿