小説「政権奪取!」 6


「保守政党の女性党首か、・・・ちょっと思いも付きませんね。

「よもやとは思うが、女性初の防衛大臣を経験した三池裕子・・・・でも彼女はメンバーに入るかどうかが問題だ。」

「私もその人選はないと思います。第一、平岩さんがかなり嫌っていましたよ。」

「そうだよな、その件は私も知っている。」

「社長、嫌われた原因もご存じでしょう。」

「環境に配慮して、自衛隊の戦車や車両をハイブリッド化すべきだと発言した件だろ。」

「そうです。その時平岩氏は『防衛大臣としての見識が問われる発言だ。私が敵国の大将だったなら、その時点で勝てたと思うだろう。』と手厳しかったのを覚えています。」

「結局、防衛省、自衛隊双方から疎んじられ確か三ヶ月くらいで退任になった筈だ、ありえない!」

「だとしたら誰でしょう?」

「ううむ、まったく分からん。」

「前回のアメリカ大統領選挙では、アメリカ憲政史上初の女性大統領か?黒人大統領か?で盛り上がって、結局有利といわれていたマケイン候補が敗れるという波乱が起き、黒人大統領オバマが誕生しました。」

「日本憲政史上初の女性総理大臣は、我々マスコミにとってはとても刺激的で魅力なのだけど、さっぱりイメージが湧いてこない。」

「社長ご存知ですか、このアメリカ憲政史上初の黒人大統領の誕生には、アメリカのマスコミが一役買っていた事を・・・・・」

「いや、まったく知らない。」

「アメリカ人が好んで視聴した人気テレビドラマで、次々と起こる危機に対して、冷静沈着にしかも毅然として対応するパーマー大統領という黒人大統領を創りだして、黒人大統領はこんなにも頼り甲斐があるというすり込みを事前にしていたといわれています。事実かどうかは定かではありませんが・・・まあ都市伝説程度の確度かと思われます。」

「ふーん、なかなか面白い話じゃないか。そんな手があるなら、もしも女性党首だったら、先行して女性総理大臣が大活躍するドラマを全国放送で流せば同じような効果が得られるという事だろ。」

「そうです。そのドラマ是非家で作りましょう。」

「金の心配は要らないのだから、作ろうと思えば作れる訳か・・・」

「社長、スポンサーの当てはあるのですか?

「スポンサー?ああ、たぶん直ぐ集められると思う・・・。」(やばい、これ以上突っ込まれると金の件を話してしまいそうだ、気を付けないと命が危ない!)

「我々二人で盛り上がって、現実からかけ離れた話になってしまっていますね。現実に戻ってメンバー選考をしっかりやらないといけないですね。」(橘は、隅田の顔色を伺って、話をそらした)

「そうだ、その通りだ。メンバー選考をしっかりやらないとあの煩そうな爺さん達に叱られてしまう。頼むぞ橘君。」

「はい。では、今日のところはこの辺にしてデータの分析や経歴の洗い直しを続けます。

「ああ、頼む。」


 一方、渡部の方でもメンバー選考で頭を痛めていた。それは、図らずも隅田達が面白おかしく話題にしていた、党首の選考で中々思う答えが出せずに悩んでいたのである。渡部としては、流石に長くマスメディアに携わってきただけあって、真正保守の党首が男性だと女性票の取り込みが難しい事は、百も承知していた。そこで渡部がイメージしていたのが、あの保守政策のシンクタンクを立ち上げて、女性理事長で八面六臂の活躍をしている室井良子である。
 しかし、室井は、以前からあらゆる形で立候補を打診されたがその全てをかたくなに断ってきた経緯があった。それは、衆議院議員に始まり、参議院議員、県知事、政令指定都市市長、と多岐にわたっていた。その事が彼女の言動、手腕に期待される魅力を持っていたからに他ならない。しかし、室井はその誘いや擁立要請を悉く拒否してきたのだ。


to be continued...





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