なぜデフレ不況は終わらないのか



東日本大震災は我が国に深い爪痕を残した。その復興のための二次補正予算が本日成立した。阪神・淡路大震災の予算成立状況と比べると、発災42日後(今回53日後)に補正予算が成立、続いて122日後(今回138日後)に追加補正予算の成立となっている。今回の大災害における政府の対応は補正予算成立に限定して「慣れない与党」の割に頑張ったと言えるのだろう。


これで復旧への道筋がついたわけだが、復興のための予算はどうなっているだろうか。今後5年間の集中復興予算は19兆円(成立補正予算分を差し引くと約14兆円)ということが昨日の東日本大震災復興対策本部の会合で決定された。これは発災から4ヶ月半が経過しての「枠組みの了承」であり、今後の当初予算、補正予算として計上されていくものである。

このように復興への道筋が朧気ながら見え始め、ようやく一安心と胸を撫で下ろしたいのだがそうもいかない。

なぜか。それは予算の財源が増税を含むものだからである。

基本的に増税は需要引き締めのツールであって、現在のようにデフレ下(需要<供給)においては需要を拡大するために、むしろ減税をしなければならない。つまりデフレ下において経済を守りつつ復興財源を捻出するためには、国債を発行するか政府紙幣を発行して政府支出により総需要を拡大しなければならない。そうやってデフレ脱却をしたのが高橋是清であり、フランクリン=ルーズヴェルトであった。国家の存在理由は国民の生活を守ることであり、大震災の復興債は「借金を増やすな」という愚かな連中の声※後述をかき消す大義名分になるはずだった。

しかし、現実はそうはならないようだ。
政府は復興債の償還を同時期の臨時増税(所得税、法人税、消費税率引き上げ)で賄うことを検討している。

これでは景気対策にもなる復興債の政府支出が増税によって打ち消されてしまうのである。せめて復興債の償還開始は経済成長が安定して5年以上続いてから、など柔軟な運用ができるようにするべきではないだろうか。

積極的に公共事業を行うことにより不足している需要を充たし、雇用が生まれ、消費が増え、景気が回復し、税収が上がるというのが歴史的に見ても取るべき道だろう。どうしても増税するというのならインフレ率を見ながら行えば良い。

橋本政権以来、20年にわたってインフレ下で行うべき政策をデフレ下で行ってきたがために、日本経済はデフレが続き、経済成長が出来なくなっているのである(この間、小渕内閣だけは積極財政で回復路線に戻りかけた)。

さて、なぜ我が国はこのような壊滅的な状況下において内需拡大への誘導が出来ないのだろうか。財務省のエリートたちが何故、あえてデフレを放置して(させられて)いるのだろうか。

ここからは私の推論。いや、妄想である。

デフレで喜ぶのはお金(円)を沢山持っている人たちである。お金を持っている人は財閥や大企業の経営者などであり、政界、マスコミへの影響力は大きい。その影響力を用いて借金で国が破産すると煽りデフレを維持すると結果として内需は拡大しない。さらなる経済成長のためには外需頼みにならざるを得ない。しかし世界は日本の購買力に期待、すなわち輸入拡大を望み円高を歓迎、輸出は増えない。その上アジアは労働力供給、アメリカは金融自由化を要望する。この状況で利益を上げるには安価な外国人労働力と生産拠点の国外移転が企業にとっても望ましい。結果として日本人の雇用は奪われるが資本家は潤う。これはTPPの構図であり、直接関わっていない中共の望むところでもある。国益を知らぬ商人が国を滅ぼす。。。

と、締めは些か妄想じみているが、私が責任者なら多少の借金など気にせず積極財政を推進するのになと思う次第である。
資産などと関係ない一般市民はインフレになっても何ら困ることはないのである(物価が上がれば給料も増える)。


※(日本の借金云々という話にはふざけたオチがある。2002年に日本国債の格付けが下げられた際に財務省は「自国通貨建てであり、ほぼ国内で消化されている国債債務不履行は考えられない。一体如何なる事態を想定しているのか」と反論している。内向きには借金の危機感で増税を煽り、外向けには借金なんて何でもないと言う二枚舌の財務省であった。)


おしまい


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