小説「政権奪取!」 2







「何か秘策でもあるのですか?」

「勿論じゃとも、取っておきの秘策がある。」

「な、何ですかその秘策とは?」

「済まんが今は言えん」

「えっ、そんな、力を貸せと仰って置きながらそれはないのでは・・・」

「本当に済まん!時期が来たら必ず話すからそれまでは、聞かずにわしを信じてついてきてくれんか?」


「そこまで言われるのであれば、今は、聞かずにお手伝いさせて頂きます。」

「ありがとう」

「私にもメンバーの人選は、手伝わせて頂けるのですか?」

「勿論、君にはメンバーの素行を含めて、政権与党のメンバーとして相応しいかどうかチェックしてほしいんだ、その能力を見込んでお願いする。」

「分かりました。」

「ところで君、今日は最後まで付き合ってもらうが、いいんだな」

「はい、そのつもりで終日開けてきました。」

「それでは、我々のメンバー入りを祝して今晩は祝杯を挙げよう、現代令終会の重鎮達にも引き合わせておかんといけないだろうからな。」

「そう言えば何ですか?その現代令終会という会は?」

「令終というのは、命の最後を全うしようという意味じゃ、主なメンバーは・・・・私の他あの大勲位、新幹線を走らせているT社、水素カーで抜きんでている、M社等といった所だ。」

「大勲位というとあの曽根さんですか?」

「そうだ。」

「でも何故、新幹線だけを走らせているT社だけメンバーなのですか?」

「君は、大阪万博を覚えて居るかね?」

「はい、大学生でしたのでバイトして旅費を稼いで見に行きました。」

「あの大阪万博で、当時もう少しで実用化されると話題を集めた最先端の技術が二つほど展示されていたんだが覚えているかね?」

「え、確か携帯電話とリニアモーターカーだったように記憶していますが。」

「そうだ、その通りだ。で、今どうなっている?」

「携帯電話は、もの凄い進化を遂げ、GPS機能や、メール、音楽、ワンセグとしてテレビまでも視聴できます。でも、リニアモーターカーに至っては、実験線での試験走行止まりですね。」

「それだよ、個人が便利になる携帯と違ってリニアモーターカーの様なものは、政治主導の国家プロジェクトでないと造れないんだ、それがあの国鉄が民営化された中で、リニアよりも新幹線網の整備が先だとして、建設予算がどこからも捻出できなくなってしまったんだ。君は、あの東海道新幹線が当時IMFからの融資資金で建設された事を知っておるかね」

「はい、存じております。」

「だったら、あの東海道新幹線がその後のアジアの奇跡とまで言われた日本の高度経済成長の一翼を担っていた事も知っているだろう。少し前からこの国では、公共事業を悪と決め付けてリニアに象徴されるようにデフレのいまこそ造って置くべきものまでも抑制されてしまっている。この状況も変えねばならないのだ!」

「確かに、今の政権のキャッチフレーズは、コンクリートから人へ、でしたねこのキャッチフレーズの中でリニアの建設なんて有り得ませんね。」

「君は、日本が置かれている経済状況の中で何が一番問題なのだと思うかね?」




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